遍 歴
恵方巻、『そして父になる』、『逃亡料理人』、『きのう何食べた?』など……
2022年2月4日(金曜日) 曇り⛅
1 2月3日の食事
昨日は朝食(と言っても昼過ぎ)に、一昨日の残りの辛ラーメン鍋にさらに麺を投入して食べる。
昼食(と言っても夜7時ぐらい)は以前買った大豆ミートのハムカツとナゲット。
夕食(と言っても0時過ぎだが)は恵方巻各種と豚汁など。恵方巻は齧らず、切断して、北北西も無視して食べる。
2 是枝裕和監督の作品を観なければ
パラパラとテレ‐ヴィジョンのネット配信を見ていると、今更ながら、是枝裕和監督の『そして父になる』(2013年)と『万引き家族』(2018年)が見られることが分かった。予告編を見て、まさにこれこそ「偶然の家族」のテーマに沿った作品に違いないと確信した。これは見なければ。しかし、いつ? どうやって?
3 『逃亡料理人ワタナベ』
そうこうしているうちに、相方は早々に意識を失ったので、已む無く、池内博之主演による、『逃亡料理人ワタナベ』(2019年3月23日 - 配信開始、ひかりTV)*[1] という、どこかで聞いたようなタイトルと、どこかで見たようなコンセプトの、どちらかと言えば二番煎じのドラマかなと思いつつ、何気なく見たが、これが何だか面白かった。
これは、配役*[2]を考えてもかなりお金がかかっているようではあるが、主として主演の池内博之の醸し出す人徳というのか、或る種の「安心してください」的なオーラが、この作品のチープな(失礼!)コンセプトを救っている。これは重要な要素だとわたしは考える。脚本がどうであろうと、演出がどうであっても、俳優の持つ「見ていて安心」感というのは、なかなか得られるものではない。また、脇を固める助演陣もいい味を出している。
更に重要な要素は、他の料理系ドラマだと(すいません、わたしの極めて限定的な知識によるものです)、例えば、この手のドラマの走りとなった『孤独のグルメ』(2012年~・テレビ東京)が典型例だと思うが、あくまでも料理なり、飲食店なりがメインであって、その他の要素は、あくまでも取ってつけたようなものである。『孤独のグルメ』では、確かに冒頭に主人公の仕事のシーンは出てくるものの、そこでの苦悩なり、混乱なりが食事のシーンに持ち込まれることはない。いわんや、主人公の人生の断片が描かれることもない。もちろん、それはコンセプトが違うので、それはそれでいいのだが、本作は、そもそも主人公は冤罪によって警察に追われている身であり*[3]、そこには当然ながら、料理以外の要素がふんだんに持ち込まれることになる。
大体初回に至っては、主人公は料理を作りもしない。テーマとなっている料理「アジのまご茶漬け」は、岸谷五朗演ずるところのグルメな刑事が入った店での料理なんだから。
ただ、金目鯛のオブジェ? を使った演出は過剰かと思った。
いずれにしても、今後の展開が期待されるドラマの一つではある。
4 大変野心的な試み――『きのう何食べた?』を褒め称える
その意味で言えば、話が完全に逸れるが、料理ドラマの枠を借りて、相当重いテーマを、そういう風には見せないように軽妙に描いたのが『きのう何食べた?』*[4]である。要は、毎回、西島秀俊演ずる一人の主人公「シロさん」が料理を作って、内野聖陽演ずるもう一人の主人公「ケンジ」と舌鼓を打つ、という形式を取りながら、本来のテーマはそこにだけある訳ではない。倹約家である「シロさん」は食費を切り詰め、安売りスーパーの「中村屋」の店内の物色したり、美容師である「ケンジ」が働く店の店長が浮気をして、それを店長の配偶者が相当クールに受け止めていたり、とかいろいろおもしろい。
さて、問題はここからである。
主人公二人はゲイで、同居している。無論、それを理解してくれる人もいれば、当然そうではない人の方が多い状況で、彼らは様々な、客観的に言えば比較的小さな困難を乗り越えていく。家族も含めて、周囲の人々もそれをどう受け入れたらよいのか悩みながら、ストーリーは展開していく。つまり、そんなに簡単な話ではないのだ。「シロさん」の父は大病もする(実際にはその父役を好演した志賀廣太郎が亡くなるということもあり、いろいろ考えさせられた)。
いずれにしても、もともと青年誌『コミック・モーニング』に不定期連載されたということも瞠目するが(今時の青年は「ゲイ」の「料理漫画」を受け入れたのか!)、深夜枠とは言え、それがテレ-ヴィジョン・ドラマ化され、人気を博し、スペシャル版も作られ、尚且つ映画化までされるとは。ちょっと、ここには額面通り受け取れないものがあるようにも思う。実際にゲイなどの同性愛者などに対する偏見は、まだまだ、そうとう根強くあるに違いない。ドラマはドラマということなのか。
それにしても、昨年の晩秋だったと思うが、わたしがバスに乗っていると、50代から60代の二人の女性たちが、この『きのう何食べた?』の映画の予告編か何かを見たのか、そこで紹介されていたと思われる料理の材料について楽しそうに話していた。いやはや。ここまで浸透しているとは。
いずれにしても、世界は多様であり、そのことを互いに受容し合う社会が必要だというのは言うまでもない。サブ‐カルチャーではあるが、サブ‐カルチャーであるからこそ、社会への影響なり、合意形成なりに水面下での力があると思われる。
その意味でも、この『きのう何食べた?』の、原作者も含めて、ドラマ、映画の製作者たちの、相当練りに練られた構想、野心的な企みに拍手を送りたいと思う。
ちなみに、わたしは原作の漫画は未読、映画も未見です。すいません。早いとこ手を打ちます( ´∀` )。
いや、それにしても、わたしがリアルタイムでテレ‐ヴィジョン放送を見ることはほとんどないと言ってよい。せいぜいニューズを見るぐらいだ。ここでの議論はネット配信によるものである。かつてのテレ‐ヴィジョン番組はリアルタイムで見るか、意識的に録画しておかなければ見ることは難しかったが、こういうご時世になってくると、いい作品であれば、いくらでも
後から発掘されて、再評価されるチャンスがある。素晴らしいことだ。またネット配信会社を通じて、出演者、製作者に幾ばくかでもギャラが発生するのであれば、更にまた素晴らしいことだ。恐らく、そこのところは、まだ不十分だと思うが、是非そのような面も順次改正、整備をしてもらいたいものだ。
🐧
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[1] キャスト 池内博之・岸谷五朗・尚語賢・魏一・中村蒼・三浦貴大・新津ちせ・門田宗大・中野良子(特別出演)・いとうあさこ・筧利夫・(伊東市ゲスト)内田理央・高島礼子・(京丹後市ゲスト)池端レイナ・阿部亮平・螢雪次朗・(淡路市ゲスト)良知真次・広島光・渡辺大・(神石高原町ゲスト)飯窪春菜・西山潤・(北九州市ゲスト)岩城滉一・清水くるみ、主題歌:「Face feat. 井上苑子」アーティスト/作詞/作曲:川嶋あい、挿入歌:「タバルほおばる」 アーティスト/TABARU ※スピンオフ番組「湯けむり下京」主題歌、監督:門馬直人、北畑龍一、佐藤リョウ、脚本:一雫ライオン、監修:李纓、プロデューサー:伊藤主税、夏暁暉、耿忠、岩崎雅公、エグゼクティブプロデューサー:吉田正大、佐藤崇弘、製作:and pictures /ムーランプロモーション/北京中城网科技有限公司/広州秀美綱絡文化伝媒有限公司/パソナグループ/ Wano、朝日フィナンシャルグループ/NexTone/大川興業、制作:and pictures /クレデウス ©2019「逃亡料理人ワタナベ」製作委員会。
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